100年に一人のダンサーと言われるシルヴィ・ギエム。身体の一部分を見ただけで彼女だとわかるほど隅々までがシルヴィ・ギエム。美しく、強く、ギエムらしいダンスがその身体からつむぎだされる。どの役を踊っていても、そこにギエムのエッセンスが溢れている。カッコよくて、エスプリがあって、同じ時代に生まれたことに感謝。
パリ・オペラ座バレエ学校が初来日した遠い昔、パリ・オペラ座バレエ学校の公演を観に行った。「2羽の鳩」の主役はギエムでなかったと思うが…バレエ学校の生徒はすべて神々しかった。そして、彼女は神から選ばれし人々の中のたった一つの頂点。
「In the Middle, Somewhat Elevated」
フォーサイスとのリハーサル映像もよく見る。カッコイイとしか言いようがない。他の誰が踊ってもそこにはとどかない。無機質なステップのようで、ギエムのダンスは空気の重さを感じ、強い。エネルギーの塊が緩急をつけながら動いてる。細くて力強い全身が舞台上の空気をかき回す。何かをうったえている。この短い映像にエネルギーが吸いとられる。